第35回日本マススクリーニング学会
会長 山口清次 (島根大学医学部小児科教授)
子どもの病気は「治療」よりも「予防」
----- マススクリーニングの拡大を
第35回日本マス・スクリーニング学会/第30回技術部会を松江市で開催させていただき光栄に存じます。ご存知のように、わが国のマススクリーニングは昭和52年10月から全国的に開始されて31年が経過します。わが国は、スクリーニング受検率がほぼ100%で、サポート体制、フォローアップ体制も充実し、世界的に最高水準と評価されていた時代がありました。しかし、30年の間にスクリーニングを取り巻く環境は大きく変化し、患者や社会の意識も変わりました。「個人情報保護」を誤解して、マススクリーニングで発見された患者のフォローアップも困難になっているところもあるようです。問題が山積しています。またタンデムマスや聴覚スクリーニングをはじめとする新しい検査技術も開発され、曲がり角にあります。
私は学生講義で小児科と内科の違いについて「小児科は新車製造工場、内科は自動車修理工場」と説明します。内科では大人の出来上がった身体に故障が起きたとき正しく診断して、部品を交換したり修理をして社会復帰してもらうのが仕事、一方小児科では子どもの身体が発育段階にあるので、ちょっとした異常も新車製造工場全体を点検して、故障が起こらないようにするのが仕事だと思います。
これまで小児の障害予防に貢献してきた小児保健事業の3本柱は、「乳幼児検診」、「予防接種」、および「マススクリーニング」です。子どもの健康を守るのは「治療」よりも「予防」です。タンデムマスなど新技術導入を機に、わが国のマススクリーニング体制の立て直しをしなければならない時期にきているのではないでしょうか。
本学会では、ドイツのProfessor Hoffmnannにタンデムマス・スクリーニングの現状を話していただき、韓国のProfessor Dong-Hwan Leeにお隣の韓国の現状と費用対効果について講演をお願いしています。また昨年世界遺産に登録された島根県の「石見銀山」にまつわる話も予定しています。皆様のご参加を心より歓迎します。